Frontiers Tour Tokyo で老舗メーカーが語った、Slack 全社導入までの歩み

武蔵精密工業とカクイチに学ぶ、 Slack 全社導入を成功に導く5つのヒント

Attendees at Frontiers Tour Tokyo

Slack が世界主要都市で毎年開催している「 Frontiers 」。このイベントは、様々な業界のリーダーが、 Slack のパートナーやユーザー企業とともに学び、考え、新しい働き方の実践を加速していくための場です。 9 月 17 日には東京初となる「 Frontiers Tour Tokyo 」が虎ノ門ヒルズで開催され、 600 名を超えるゲストをお迎えしました。

当日は、経営陣からのメッセージや新機能の紹介のほか、ユーザー企業が Slack をどう活用しどんなコミュニケーションを実現したのか紹介するセッションも開催。ここでは、 Slack の全社導入に成功した武蔵精密工業とカクイチのセッションから、 Slack を最大限に活用するための 5 つのヒントをご紹介します。

組織として準備すべきこと

ヒント① 目的を明確にする

Slack を導入するにあたって最初に考えたいのは、「なぜ Slack を使うのか」「Slack を利用して何をしたいのか」ということ。導入前にこの目的部分をクリアにして、組織で共有することが大切です。

自動車やバイク部品の製造販売を戦前から行う武蔵精密工業が Slack を導入した背景には、変化のスピードが速い自動車業界において、イノベーションを起こしていきたいという思いがありました。そのためには今までの環境を大きく変え、組織を超えて、またスピード感をもって情報を活用する必要があったのです。導入にあたってまず、「どういう環境を作り上げていくのか、ユーザー側にどんな世界が待っているのかというイメージを共有しました」と話すのは IT ソリューション部 部長の清水佳代子さん。 Slack によって人と人、人とシステムをつなぐ環境を提供することで、「フラット、オープン、スピーディーなコミュニケーションの実現」をコンセプトに掲げました。

明治創業で、農業用倉庫や工業用ホースの老舗メーカーであるカクイチでは、「指示が末端まで正しく伝わらない」「隣の部署が何をやっているのかわからない」など、社内のコミュニケーションに課題を抱えていました。そこで「見ていない、聞いていないと言わせない情報共有や、本音を言い合える組織風土の実現を目指し、 Slack を導入しました」と、執行役員 IT 情報システム部長の鈴木琢巳さん。「意思決定の速度を上げて、空いた時間をお客様へのサービスにあてること」を目標に定め、そのイメージを共有しました。

両者の取り組みからもわかるように、目的を設定する際には、事業へのインパクトや Slack がもたらす価値、課題解決や生産性向上への貢献を示すことがポイントになります。またその目的を、組織で共有することが大切です。

ヒント② 経営陣やシニアリーダーを味方にする

Slack 導入の目的を広め、導入への理解を得るためには、経営陣やシニアリーダーを味方にしていくことがポイントです。

武蔵精密工業では、役員に率先して使ってもらうために、役員向けのトレーニングを行い、Slack の特徴のひとつである「絵文字リアクション」や「メンション」に慣れてもらう工夫をしました。一方カクイチでは「社長のつぶやきチャンネル」を設定し、トップ自ら情報を発信してもらうとともに、社員がリアクションを返せるようにしました。その結果、トップとの距離がぐっと縮まったといいます。

このように経営陣やリーダーにチャンネルで情報を発信してもらうことや、「社長になんでも聞いてみよう」といったチャンネルを作ること、また経営陣から積極的にリアクションしてもらうことなどが効果的です。

ヒント③ 成功を測定する

こうして展開がスタートしたら、次に大切なのが成功の測定です。うまくいっているのか、定量的、定性的に測ることで、改善すべき点が見えてきます。

武蔵精密工業では、 Slack のアクティビティ測定機能を使ってユーザーの利用状況をチェックする中で、「見ているが書き込みが少ない」ことに気づきました。メーカーという性質上、「ある程度のルールや手順がないと社員は使いづらいのではないか」と考え、ゆるやかなルールやガイダンスを用意したところ、徐々に書き込みが増えてきたそうです。

またカクイチでは、 Slack でのコミュニケーションを定量的に見える化した結果、コミュニケーションの中心が、「情報を持っている管理職」から「情報を発信する現場の社員」へ移っていることがわかりました。これにより、リーダーの役割が「情報を用いて部下をコントロールする」のではなく、「情報を用いてビジョンや方向性を示し、組織を正しい方向に導くこと」に変わってきたと鈴木さんは分析しています。また、全国の営業所で起こっていることを東京で把握することができるようになり、業務や判断のスピードが上がったそうです。

なお、成功の測定にあたっては、「現在 Slack がどのように役立っているか」「どのように成功を測定していくか」はもちろん、それを「どのように報告するか」も重要です。

社員に向けて準備すべきこと

ヒント④ ユースケースを特定し、他のツールと差別化する

全社導入にあたっては、ユーザーとなる社員に対して Slack をどうやって使っていくか、全社員が使用できる一般的なユースケースを用意することもポイントです。

武蔵精密工業では、社内向けのインフォメーションを独自のポータルサイトからすべて Slack での発信に切り替えました。また、電話でのやり取りが中心だったヘルプデスクも Slack 上で運用。 Bot を用意して、誰でも簡単に書き込みができるように工夫し、その対応の進捗を見える化したことで効率アップに成功しました。さらに社内システムを連携させ、 Slack 上で人事検索や出張・経費精算等の申請・承認フローを可能にすることで、社員に Slack をより便利に感じてもらえる取り組みもしています。

一方カクイチでは、新規事業の対象である顧客 1 社につき 1 チャンネルを作り、営業担当がヒアリングした内容をチャンネルにどんどん書き込むようにしたことで、誰もがリアルタイムで顧客の状況を把握できるようになりました。将来的には顧客自らがチャンネルに投稿し、また顧客同士が交流できるようなワークスペースも作りたいと考えているそうです。

このように、Slack 及び他のツールの使用目的を明確にしたうえで、 # アナウンスや # ヘルプなど使いやすいチャンネルを設定することや、絵文字に意味を持たせること、またボットやアプリを使用して簡単なワークフローを用意することなどが効果的な使い方だと言えるでしょう。

ヒント⑤ アンバサダー組織を立ち上げる

全社導入を進めるためには、自ら積極的に Slack を活用し、利用を促進してくれるアンバダーを選定してネットワーク化し、集中的にトレーニングを行うことが大切です。実際に、武蔵精密工業とカクイチでもアンバサダー・プログラムを実施しています。

「離れた場所にある拠点をすべて IT 部門のメンバーでカバーするのは難しいですが、アンバサダー・プログラムで学んだ人が近くにいることが、ユーザーの安心感につながっています」と話すのは、武蔵精密工業の清水さん。これにより、声を吸い上げることにも成功し、セキュリティへの不安を挙げていた部門にはプライベートチャンネルを設置するなど、要望に応じることでみんなにとって使いやすくなるようにしています。

カクイチでは、社歴の短い若い社員をアンバサダーにアサイン。「社長のつぶやきチャンネル」によるトップダウンでの利用促進に加えて、若いインフルエンサーを活用し、「オセロの端と端を押さえて、間を順番にひっくり返すようにした」結果、わずか 3 か月で Slack の利用率が 90 %を超えました。「 Slack の導入によって、会社の文化はがらっと変わりました。情報の見える化と共有によって判断が速くなり、会社のスピードは 4 倍にあがった。カクイチのようにもともと IT リテラシーが高くなかった会社でも、目的以上に成果が出ていて、非常に驚いています」と鈴木さんは話します。

アンバサダー・ネットワークを立ち上げる際は、両者のように各チームから代表者を選出することや、アンバサダー向けのワークショップを開催することに加え、情報交換ができる専用チャンネルを作成することも効果的な方法です。

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