Slack のローカライゼーション

文化面まで考慮し、世界中の人によりナチュラルなユーザビリティを提供

Localization image
Image Credit: Samantha Mash

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対応言語が英語オンリーから 5 言語へと増えた 2017 年は、Slack のローカライゼーションチームにとって、まさに怒涛の 1 年間でした。現在 Slack では Slack アプリやヘルプセンター、ホームページなどの主要サービスにおいて、英・仏・独・西・日の 5 か国語でのサポートを提供しています。 Slack の対応言語拡大に引き続き取り組んでいく中、今日は、ローカライゼーションを行う上で私たちが特に配慮している点と、Slack のコアバリューを維持しながら、うまくグローバルに展開するポイントの2点について、各言語における適切なスタイルの設定方法やその効果に触れながら、お話ししたいと思います。

Slack ローカライゼーションチーム

Slack のローカライゼーションチームは、社内翻訳者 4 名、プロジェクトマネージャー 1 名、そしてローカライゼーションマネージャー (私です!) で構成されています。この 6 名 + 経験豊富な社外の翻訳者チームが力を合わせ、Slack のサービスの多言語化に取り組んでいます。

ローカライゼーションが重要な理由

適切なローカライゼーションによるプラス効果は、ユーザーが理解できる言語でサービスを利用できるようになるというだけではありません。そこに文化的背景を取り込んで、異文化的な考え方をより馴染みやすい表現に変換することにより、ユーザーにサービスを身近に感じてもらえるようになり、結果として、ユーザーとの間に強い信頼関係を育むことを可能にします。

Slack のローカライゼーションの成功においては、Slack の独特のトーンを他の文化に合わせることが最大のポイントでした。Slack の文章には英語圏独特のウィットに富んだ表現や参考例、引用の使用などが多く用いられ、その独特のスタイルが Slack ファンのみなさんに強く支持されています。ローカライゼーションのメインはもちろん言語の翻訳ですが、それに加えて、そのユニークな英語版 Slack のスタイルを、異なる習慣や世界観のもとに育ったグローバルユーザーにとって自然なスタイルで提供するためには、配慮すべき点が沢山ありました。

Slack のローカライゼーションにおける判断基準

Slack の使命は、みなさんのビジネスライフを、よりシンプル、より快適、より有意義なものにすることにあります。この使命を真に実践するため、Slack ローカライゼーションチームは、​​コアとなる4つのバリューである「​ Courtesy (思いやり)」「Craftsmanship (匠の精神)」「Empathy (共感)」 「Playfulness (遊び心)」を大切にしています。​これらのバリューが「Slack の口調や敬語のレベル」や「どれを翻訳してどれを英語で残すか」といったことを判断をする上で、常に指針となっています。​

ローカライゼーションにおける思いやりや共感とは、つまり、ユーザーの暮らす国がどこであれ、その人の文化的背景からくる常識や嗜好に合わせることだと思います。例えば、日本語版 Slack の場合​、相手へ敬意をはらいつつ、丁寧になりすぎてよそよそしくなってしまわないように気をつけています。これは、オリジナルの Slack のフレンドリーな雰囲気を保ちながらも日本人に適したスタイルとは何かを、日本のユーザーへの「思いやり」と「共感」という視点から考えた末にたどり着いたものです。日本語版ユーザーの皆さんが、Slack を親切な同僚や仲間のような身近で頼れる存在のように感じてもらえればと思います。

 

Japanese localization screenshot

[日本語版の例。「思いやり」と「共感」を反映しつつフレンドリーさを保っています]

 

一方ドイツ語の Slack では、一部の英語のフレーズをそのまま残すことがあるかもしれません。ドイツ語の日常会話には、常々英語の単語が多く取り入れられてるからです。

 

Workspace-management screenshot

[ドイツ語版の例。「Workspace-Management」と英語のまま取り入れています]

 

敬語レベルの決定には、​Slack のユーザー層の幅広さを考慮しています。Slack のユーザー層は、世代、経歴、ビジネス環境などの点でとても多彩です。Slack のトーンに忠実でありながらも、ユーザーの期待するスタイルとのバランスを​​取らなければなりません。​​例えば、仏・独・西語での二人称「あなた」という言葉に関していうと、フランス語では「​vous​」と日本語でいう敬語を使用していますが、ドイツ語では「du​」、スペイン語では「​tú ​」と、親しい相手への言い方にしています。これは、英語での Slack のトーンを反映させながら、親しみやすく、かつあらゆるユーザー​にとって最も馴染みやすい形でローカライズしたとてもいい例です。

さらに、Slack のスタイルで重要な要素に「人間的な温かみをもつ」という点があります。Slack ではよくこれを「遊び心」を加えることで実践していますが、これは最も​ローカライズしにくい要素​でもあります。​ローディング中に表示されるメッセージや、全未読​セクション​、そしてリリースノートのユーモアに気づかれたユーザーの方もいるのではないでしょうか。Slack のローディング中に「You look nice today ​(今日ステキね)」と英語で表示されたらポジティブな感じを受けるでしょうが、これを文字通り他の言語に翻訳すると、遊び心どころか単に不自然なメッセージになってしまい、伝わり方も全く違ったものになってくるでしょう。

 

French localization screenshot

[英語の「You look nice today 」、フランス語では「お手伝いしますよ」という意味のメッセージにあえて差し替えています]

 

もしくは、全未読セクションで全てのメッセージを読み終わった時に表示される「You’re all caught up. Here’s a pony. (これで全部読みました。ポニーをあげましょう) 」というメッセージ。英語では非常に有効なコピーだと思いますが、スペイン語やフランス語、日本語では意味が全く通じません。そのため、スペイン語では「Has leído todo. Aquí tienes un caramelo de regalo. (​プレゼントにキャンディをあげましょう!)」と書き換えています。

 

Spanish localization screenshot

[英語の「You’re all caught up. Here’s a pony. 」、スペイン語では「プレゼントにキャンディをあげましょう!」という意味のメッセージに差し替えています]

 

​そしてフランス語では、「Vous pouvez vous la couler douce! (リラックスして)」というメッセージとバケーションを連想させる島の絵文字の組み合わせへと差し替えています。

私たちローカライゼーションチームにとって、Slack のミッションとバリューは非常に大切な概念であり、質の高いローカライゼーションの基礎を築き、適切なスタイルやトーンを決定する際の重要な指針としています。

翻訳対象を拡大していく中、今後対応していくべき作業はまだまだたくさんあります。これからも「優れたローカライズ製品とは、ユーザーがどこにいても、ユーザーとそのワークライフをシームレスにつなげることができる」という信念のもと、私たちはチーム一丸となってローカライゼーションに取り組んでいきます。


年末に日本を満喫してきたばかりの Anca Greve さん。スカイツリーから富士山を眺めて、疲れ目だけでなく心も癒されたとか…

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